自分は営業には向いてないって思いながらも、ものづくりの面白さがあったから続けてこられた。最初はデザイナー志望で入社したけど、結局、25年間営業マンを続けてきた。お客さんから話を聞いてそのお客さんの意向を形として作り上げることができるのも営業だからね。

あとお客さんの反応を直接聞けるっていうのが続けてこられた理由だね。正直10あったら9くらいはしんどくて、楽しみは1くらいなんだけど、その1を継続しながら今に至ってる。

私は、会社の雰囲気と人がいいことに助けられてきました。失敗したときに代わりに動いてくれる人がいたり、昔似たような経験をしてこういうリカバリーをしたみたいな知恵を持っている人がいたり。お客さんのところに謝りに行ったあとに、コーヒーを持ってきて遅くまで話を聞いてくださる上司がいたり。

俺は、最初に会社案内を見て「あぁ、こういうことができるんだな」って思ったことを今でもできているというのがあるかな。デザイナーや企画編集、カメラマンとか、そういう人たちと仕事しているときが一番面白いなって思うし、入社直後は難しいかもしれないけど、うちの会社は意外と自由にやれる。

上司や先輩がこう言ったからやるってことじゃなくて、自分がどうしたいか、自分が興味関心を持ってやりたいようにすることはできる。分からなければ人に相談しながら。結果としてお客さんがいいねって言ってくれるものに仕上がれば、案外自由にできることが多くて、それがいいところだと思うかな。あとは、やっぱりいろんな人に助けられてきたなって。要所要所で守ってくれる人がいた。

そうね。

当然、そうじゃない時もあって、「なんでそんなこと言うんだろう」って、フッと泣きそうになることを言われたりもしたけど。ある時、へこみながら仕事してたら、となりの部の上司が「大丈夫か？大変そうだな」って声かけてくれた時に、「やべ、俺泣く」って思ったときがあって（笑）。

事情を知っていて声をかけてくれたかどうかは分からないけど、そういう風に救われたとかさ。頭が上がらない人はたくさんいる。「お客さんのために」って頑張ってきたことが多いけど、それを認めてくれる人たちがいたことは大きかったな。

私は、営業の仕事をしてきたお陰で社会性が身に付いて、成長できたというのがひとつ。あと、これは一人前になってから認識することですが、「仕事の報酬は仕事」という言葉があって、お客さんのために頑張ったらお客さんが認めてくれて、また仕事をもらえるようになる。それが励みになって、続けられているんじゃないかと思います。私は頑張ったから報酬をたくさんもらうというよりは、感謝されたい気持ちで動いていると思うので。どんどん忙しくなるけど、営業の醍醐味はそこだと思う。