川口印刷の本社にある展示コーナーに、『サザエさん』初版本復刻が置かれています。長谷川町子さんが設立した「姉妹社」で刊行された本です。岩手県盛岡市にある川口印刷工業と、いったいどんな関係があるのでしょう?
川口印刷工業の前身「川口荷札株式会社」は、昭和13年(1938)、東京・深川に東京販売所を開設しました。後に東京工場を開設し、戦禍に遭いながらも工場を再建。今日まで、東京での事業を継続しています。
一方、サザエさんの作者・長谷川町子さんは昭和21年(1946)、26歳の時に福岡からご家族とともに上京されました。同年12月「姉妹社」を設立し、『サザエさん』初版本(B5判・右開きの横綴じ)を刊行。その後、サイズをB6判に変えて『サザエさん』全68巻を出版しました。
川口印刷は、東京工場(現在は東京支店)において姉妹社とのご縁をいただき、印刷を請け負ってまいりました。当時の話として「作者である長谷川町子さんは色にもこだわりがあり、カラーの表紙は四色印刷では納得されず、特色をプラスした七~九色を使ったカラー印刷で対応したという。」(川口印刷工業株式会社創業100周年記念誌より引用)との記録が残っています。
「姉妹社」は、町子さんがお亡くなりになった翌年の平成5年(1993)に解散しましたが、川口印刷は今でも、『サザエさん』初版本復刻をお手伝いさせていただくなど、長谷川町子さん(現在は一般財団法人 長谷川町子美術館)とのご縁を大切に繋いでいます。